半島を出よ(村上龍著)  

photo


これは凄い。
ひとつの重大な出来事を様々な人物の視点から立体的に描き出し、ストーリーを楽しませるだけでなく、国家・社会・人間というものを表も裏もすべて明るみに引きずり出して描き切る、高度な知性と迫真の力業の結晶。
北朝鮮のワケあり遠征軍が福岡を占拠し、日本政府が九州を封鎖して国を守ろうとするという設定の話の中で、いまわれわれが抱えている日本社会の問題点や弱点や盲点が次々に抉り出される。
日本(政府)、福岡(地方)、北朝鮮軍、そして社会からこぼれ落ちたアウトサイダー達という四者の視点で物語りが動く。
人間のほんとうの強さとは何か。国家とは何か個人とは何か意志とは何か運命とは何か。生きるとはどういうことか。
あらゆる問いに対する答が籠められた、村上龍渾身の大作。