神経花瓶(山崎俊夫著)  

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山崎俊夫を知っている人は少ないと思う。芥川龍之介より一歳年長、竜胆寺雄より十歳年長、つまり彼らとだいたい同じ時代の人なわけだけれど、芥川が36歳で自死したのに対し山崎は87歳で天寿を全うしている。が、小説を書いていたのは主に20代。29歳で役者に転向し、不思議な人生を送っている。
山崎俊夫の小説を端的にいうと、耽美主義。これ以上の耽美主義はない、と思われるほどに深く、息苦しいほどに研ぎ澄まされた暗黒の美の世界。(注:現代の「耽美小説」とは意味が違う)
「あゝ亡びゆくものよ。自分は愛惜といふ情なくしては亡びゆくものを思ふ事が出来ない」
現在は、奢覇都館
http://www.h3.dion.ne.jp/%7Esabato/
より、山崎俊夫作品集全5巻が刊行されている。「神経花瓶」¥6500はその第二巻。なかなか洒落たタイトルだと思う。